02.気付いた男も手を握る

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確かに朝の方が密着度は高かったと思う。 だけど、朝の場合は満員電車なんて不可抗力という面もあった。 それを考えると、閑散とした車内でピッタリ寄り添うなんて、 『引っ付きたいから、引っ付いています』 と、はっきり公言してるのと一緒な気がする。 いや、うん……嫌じゃないけど、なんというかその……。 益々、カアッと火照り始めた頬。 「――――も良い?」 覗き込む瞳と共に、髪を弄る私の手を、ひとまわり大きなそれがふわりと覆った。
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