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少し早めに退社したせいか、帰りの電車は学生服が多かった。
朝と違って、すし詰め状態ではないけれど、それなりに混みあった車内。
いつもならば、私と同じく仕事帰りの社会人勢の漂わせる疲労オーラに包まれるその場所。
それが、一時間違うだけで、ワイワイガヤガヤ。
やっぱり十代は元気だと思う。
楽しそうにお喋りを繰り広げるセーラ服の四人組に、携帯ゲーム機で何やら対戦でもしているブレザー男子。
窓際でイチャイチャしている二人組は、もう少し場を考えた方が良いと思う。
だって、流石にこんなに人が多いとこで手を繋いで、更に頬っぺたといえどキスとか、ここは日本ですよと言いたい。
もしくは、もっと人の少ない時間帯とかなら、私もアリかなとは思うというか……。
いや、でも手を繋ぐまででしょう流石に。
私は小さく息を吐き出し、携帯電話の活字へと視線を落とす。
すると、二つ程駅を過ぎた所で頭の上に涼やかな声が響いた。
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