04.彷徨く女は愚痴られる

2/23
145人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
少し早めに退社したせいか、帰りの電車は学生服が多かった。 朝と違って、すし詰め状態ではないけれど、それなりに混みあった車内。 いつもならば、私と同じく仕事帰りの社会人勢の漂わせる疲労オーラに包まれるその場所。 それが、一時間違うだけで、ワイワイガヤガヤ。 やっぱり十代は元気だと思う。 楽しそうにお喋りを繰り広げるセーラ服の四人組に、携帯ゲーム機で何やら対戦でもしているブレザー男子。 窓際でイチャイチャしている二人組は、もう少し場を考えた方が良いと思う。 だって、流石にこんなに人が多いとこで手を繋いで、更に頬っぺたといえどキスとか、ここは日本ですよと言いたい。 もしくは、もっと人の少ない時間帯とかなら、私もアリかなとは思うというか……。 いや、でも手を繋ぐまででしょう流石に。 私は小さく息を吐き出し、携帯電話の活字へと視線を落とす。 すると、二つ程駅を過ぎた所で頭の上に涼やかな声が響いた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!