04.彷徨く女は愚痴られる

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こういう時、会話をするべきなのか凄く悩む。 親しい人なら気兼ねなく話が出来るけど、面識だってたった一回の相手。 …………。 「外回りの帰りとかですか?」 沈黙ってなんか怖い。 耐えきれなくて掛けた、当たり障りない言葉。 我ながら捻りも何もないその問いかけに、けれど、此方を向く彼女の表情は意外だった。 きつめの目が忙しなく瞬きを繰り返し、再びスッと外れる視線。 「そ。この前の企画の第二段を考えててね。今日はその打ち合わせ」 ぼやくような返事と、やや迷惑そうなその様子に、内心「しまった!」と焦ってしまう。 倉橋さんを見てたら分かるけど、仕事に追われる本社の人。 移動時間くらい、仕事の話からは解放されたいのかもしれない。 だから私は「お疲れ様です」と返して、再度自分の携帯電話に視線を落とした。
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