03.オフの男は名前を呼ぶ #2

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ドンッと背中にぶつかる硬質の感触と、手から離れる荷物の持ち手。 ――ゴスッ。 重力に従って床に転がった白い紙袋から、小さな白い箱が飛び出る。 紺色のリボンが、まだ綺麗にかけられた状態のそれ。 けれど、そんな事は見えていないのか更に詰め寄ってくる和也さん。 「電話の電源まで切って人を散々心配させて……自分は楽しんでたってわけだ?」 「いや、だからそれは違いますよっ。山上さんが話たい事があるからって……それで電話が鬱陶しい」 「鬱陶しい!?」 「いやいやいやいや、そう言ったのは山上さんで……」 「あーもう良いよ。もっと真面目な子だと思ってたけど違うんだね」 「な!?」 目の前で「ふー」と息を吐き出す彼は、怒りと呆れと哀れみと。 そんな色んな感情が滲み出てくるような眼差し。 そして、掴まれていた腕がをスッと離れた。
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