84人が本棚に入れています
本棚に追加
ドンッと背中にぶつかる硬質の感触と、手から離れる荷物の持ち手。
――ゴスッ。
重力に従って床に転がった白い紙袋から、小さな白い箱が飛び出る。
紺色のリボンが、まだ綺麗にかけられた状態のそれ。
けれど、そんな事は見えていないのか更に詰め寄ってくる和也さん。
「電話の電源まで切って人を散々心配させて……自分は楽しんでたってわけだ?」
「いや、だからそれは違いますよっ。山上さんが話たい事があるからって……それで電話が鬱陶しい」
「鬱陶しい!?」
「いやいやいやいや、そう言ったのは山上さんで……」
「あーもう良いよ。もっと真面目な子だと思ってたけど違うんだね」
「な!?」
目の前で「ふー」と息を吐き出す彼は、怒りと呆れと哀れみと。
そんな色んな感情が滲み出てくるような眼差し。
そして、掴まれていた腕がをスッと離れた。
最初のコメントを投稿しよう!