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――サクッ!
一口頬張ったハムカツが小気味良い音を立てた瞬間、ジュワッと広がる肉汁に幸せな気分に包まれる。
モグモグと、その味わいにだけ集中する私は更に熱々の白いご飯を口に運ぶ。
ハムカツの香辛料とご飯の甘味が、絶妙なバランスを作り出す。
シックな木目調のトレーに並ぶのは、トマトの赤が彩りを添えるハムカツwith生野菜のお皿と、きんぴらごぼうの小鉢。
それから、漬物と味噌汁にご飯という社員食堂の日替りランチA。
お椀を手にしたなら、豆味噌の芳醇な香りが鼻先を擽り、
豆腐とネギというオーソドックスな取り合わせが、かえってお互いを引き立ているように思えた。
私は、喉を流れ落ちていく適度な暖かさに、ほうっと暫し余韻を楽しむ。
二月も半ばを過ぎ、あと一週間で三月を迎えるといっても、まだまだ寒さが和らぐのは週に二日もあればよい方。
三寒四温の足音にはもう少し時間が必要な今日この頃、やっぱり社食の暖かいランチはありがたい。
しかも、これで350円。
ご飯もおかわり自由とくれば――――
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