12.倉橋和也という人間

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相変わらず黙々と淡々と粛々と。 静かに静かに仕事を片付けていく堀内さん。 ――ロボットみたい。 確かにオンとオフがはっきりしてるというか、いつもの風船人間っぷりが信じられないような動き。 ただ、ロボットにしては鼻を啜る異音が若干ポンコツみたいな雰囲気を演出しているんだけど。 切手を貼った封筒を重ねて、更に作業に戻る私。 すると、 ――ヴゥゥゥゥ、ヴゥゥゥゥ。 あ……。 封筒の向こうで、ブルブルピカピカ主張し始めたそれ。 少しずつ移動し赤いランプが点滅している。 …………。 着信中の文字と共に、電話のイラストが踊る小さな画面。 「もう時間外なのでお構い無く」 チラリと此方を向いたたれ目は、またすぐに逸れる。 私は「失礼します」と席をたった。
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