†PROLOGUE†

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 おい、洒落になんねぇぞ。感覚がリアル過ぎる。あ、やばい。油断してると意識が……。 「おい、黒川。死ぬぞ」  自分の体に加えられている力が弱まったのを感じたのか、凌操が短く警告する。  死ぬ、という言葉が何故か頭に響き渡り、辛うじて意識を保つ。夢の筈なのに身近に感じた、死という言葉。  今まで考えたことはなかった言葉だが、人に平等に訪れるもの。夢だろうと、それについて考えられたのは良い機会かもしれない。  そうやって、考えが別のところにいっていたのがいけなかったのだろうと、後になって思う。 「あっ」  一瞬の気の緩みで手が滑り、凌操の体から手が離れる。  あぁ時間が遅く感じる。視界がどんどん狭くなる。このまま意識を失って目が覚めるんだろうな。きっとベッドから落ちて目が覚めるだろうから痛いんだろうな。  などと考えながら、地面に落ち完全に意識を失う。
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