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「うわあああぁぁ!」
また悲鳴。この青年は魔物に好かれでもしているのか。
「魔物はもう出ないって言ったじゃないかぁナツキちゃぁん」
今度は二匹だった。本当に最近頻繁に現れる。何かよくないものが魔物を刺激しているのか。ハンは思いつつ、男を助けに入った。
「!?」
今度は驚き過ぎて怖過ぎて、シンタは声が出せないらしい。
「助けてやるからじっとしてろよー」
ハンに言われるまでもなく、男は腰を抜かして動けないらしかった。
好都合。ハンは面を被り、絶対零度の空間に二匹を凍りつかせる。
「うわぁ!」
「!」
今回も楽勝だと思った矢先にまたまた悲鳴。咄嗟に振り返ると、三匹目が別の方向からシンタに襲いかかろうとしていた。
(間に合わない……!)
予想外の展開に強く歯を食いしばり、駆け出そうと身を乗り出すと、その身体にすっと風が吹きつけた。頬撫でる冷たい息吹。
枝葉の間から微かに漏れる光が何かに反射して、一瞬線を引いた。真っ白なその光は絶望的な空間に一筋の希望をもたらすもの。
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