第4話 ナツキとソウ

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 ソウは最初から最後まで真剣にナツキの話を聞いてくれた。 「つまり君は、実際に会っている立場だから確信して言えたんだな?」 「はい」 「強いな」 「え?」 「ハルキさんの言い分に疑問を持っている村人も中にはいるはずだ。でもハルキさんが怖くて逆らえない。それも多勢に無勢では従った方が楽だ。痛い目を見ずにすむ。でも君は……」  ソウは腕を組みながら難しい顔をしていたそれを解いて、不敵で穏やかな笑みを見せた。 「君はそんな中で真実を曲げていない。強いよ」 「いえ、強くなんかないです。私はただ、村長の娘っていう肩書きがあるから言えるんです。なかったらきっと……」 「君はその肩書きを失ったことになるだろう?俺に献上されるという形で」 「あ……」 「どうだ?もうその姫さんたちとは縁を切るかい?」 「そ、そんなの嫌です!」 「だろう?やっぱり強い」  ナツキは恥ずかしくて俯いた。自分の行いを認められたような言動も、初めてだったから。 「だが勘違いするなよ。俺はハルキさんの言うことも君が言うことにも、確証はないと思っている」 「つまり信じてはいないってことですか?」 「そう」  ナツキは何か証拠になることやものはないか考えた。しかしすぐには思いつかない。  ソウはその様子を見て、唇に薄く揶揄(やゆ)を上らせた。 「君は何かで俺をつることは頭にないのか?」 「え?」  紫の綺麗な瞳が射貫くようにナツキを見つめてくる。ソウの言いたいことはすぐに分かった。 「だ、だめっ!それは無理です!」  貞操に関わることを指摘されると条件反射で焦るナツキ。先ほどのことがかなり堪えているのは明白だ。 「冗談だ」  声が笑っている。そしてまたからかわれたことに気づくナツキ。 「ソウさん~」  まだ笑いながら、立ち上がるソウ。 「明日、案内を頼めるか?」 「え、どこへです?」 「山」  ナツキが意表をつかれた顔をする。 「それって」 「百聞は一見にしかず」  それを聞いて、ナツキの表情が彼女の性格さならがらに明るくなった。 「はいっ!」
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