第1話 いつもの日常から

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 しばらく歩くといつも姫たちと遊ぶ場所に着いた。天然でできたにしては疑いの残る石のアーチがいくつか並んでいる。 「あれ? マリ姫は?」  ナツキがハルキに“姫たち”と複数形で言ったように、姫にはハンの他にマリという名の少女がいる。 「捜しに行ってる」  そっか、と納得のナツキ。ナツキは姫たちが何を捜しているのか知っていた。 「さて、で? 何があったんだ?」  突然の問いに、ナツキは目を瞬いた。 「何って?」 「さっき素直だっただろ? なんかあったってこと丸分かり」  ハンの顔には意地悪そうな表情が浮かんでいる。  少しの間を置いて、からかわれたのだと気づいたナツキは、頬を膨らませた。 「あ、私だって素直な時くらいありますよーだ。人を天邪鬼みたいに言わないでください」 「はいはい、で? 何があったんだ?」  どうやらハンにはお見通しらしい。分かってくれるのは嬉しいことだが。
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