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しばらく歩くといつも姫たちと遊ぶ場所に着いた。天然でできたにしては疑いの残る石のアーチがいくつか並んでいる。
「あれ? マリ姫は?」
ナツキがハルキに“姫たち”と複数形で言ったように、姫にはハンの他にマリという名の少女がいる。
「捜しに行ってる」
そっか、と納得のナツキ。ナツキは姫たちが何を捜しているのか知っていた。
「さて、で? 何があったんだ?」
突然の問いに、ナツキは目を瞬いた。
「何って?」
「さっき素直だっただろ? なんかあったってこと丸分かり」
ハンの顔には意地悪そうな表情が浮かんでいる。
少しの間を置いて、からかわれたのだと気づいたナツキは、頬を膨らませた。
「あ、私だって素直な時くらいありますよーだ。人を天邪鬼みたいに言わないでください」
「はいはい、で? 何があったんだ?」
どうやらハンにはお見通しらしい。分かってくれるのは嬉しいことだが。
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