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ーー殺して、全てを奪った。
「うっ……お母さん、お父さん」
込み上げる吐き気と、溢れる涙。
耐えられなくなった私は、口を手で覆い、床に力なく座り込んだ。思い出したくない記憶が脳裏を巡り、開放される事のない呪縛に縛られる。いや、今も縛られ続けているのだ。あの日からずっと……。
「大丈夫、聖? 辛いなら無理しないで。でも、貴方にとってコイツ等は復讐すべき奴らで、その意思が覆る事がないなら、目を反らさないで」
真っ直ぐな瞳で私を見詰める綾乃。
「……大丈夫ですよ、綾乃さん。私は奴らには負けない。もう二度とあんな悲劇を起こしちゃいけない。奴らのせいで悲しむ誰かがいるなら、私は奴らを潰す。奴らの組織を根絶してみせる」
もう、傷付くのは私が最後。
復讐という形で終わらせてやる。
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