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あれから、三時間ほどの時が流れた。
先程まで生暖かい風が吹き、星の煌めいていた漆黒の空は、晴れ晴れとした晴天が広がっている。――様に見えるのも、特殊な構造で建てられた、この部屋、この"建物”だからだろう。
異質で奇抜、それでいてほぼ不可能に近い最高傑作な建造物。初めにこの建物を建てた関係者に、皮肉とも称賛とも捉えられる言葉を伝えたい程だ。
カーテンの隙間から差し込む陽の光に目を細め、少しダルさの残る身体をベッドから起こした。ギシリーーと軋むベッドの音でさえ、寝起きの耳には響いて仕方ない。不快な感覚に眉をひそめた。
「……もう朝かぁ」
不意に出た言葉。
朝が苦手な私にとって、ソレの存在は余りにも邪魔で憂鬱でしかない。ハアーと深い溜め息を一つ吐き、ベッドの周りに散らばる下着などを拾い集めて、素早く裸体の身体に身につけた。
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