《ターゲット》

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 ズレた眼鏡を人差し指で上げた綾乃は、私が持っている紙を軽く指差す。白い紙には、クリップで数枚の写真が添付されていた。 「そいつ等は、言わなくてもだいたい分かるだろうけどアイツの部下達よ。最近、やたら暴力団や海外マフィアと関係があって、派手に銃器を販売してるわ。まぁ、そのおかげで、結構簡単に情報を手に入れる事ができたんだけどね」  デスクに腰掛けた綾乃は、苦笑する。 (コイツ等ーーーー)  私は添付された写真を食い入る様に凝視した。一枚目の写真には、一人の男が写っていた。黒髪の短髪で、武将髭を生やした大柄な男。  二枚目の写真には、ブロンドの髪に、蒼い瞳。顔立ちの整った気の強そうな女。  三枚目の写真には、金髪の長髪で、龍の刺繍が施された乱れたスーツを着ている目つきの鋭い男。  四枚目の写真には、細身で、シルバーフレームの眼鏡を掛けたサラリーマン風の気の弱そうな男。  記憶に焼き付きついたおぞましい奴等の姿が脳裏を過ると同時に、あの時の屈辱も思い出すーー  私やお母さんを侮辱して、お父さんにも酷い事をして、最後は……最後は……
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