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「あの、すみませんでした!!」
とりあえず謝っとけ!!とばかりに深々と頭を下げる。
「俺の放送を無視するとは、お前もいい度胸してるよな?」
恐る恐る顔を上げると、明らかに何かしら企んでいるであろう悪そうな笑顔をした沢端がいた。
「.........」
じりじりと近づいてくる沢端から逃げるように一歩また一歩と後ずさる。
壁際に追い詰められる...
スッと沢端の左手が伸びてきて、思わず目を瞑り俯く。
そっと目を開けるとすぐ目の前に、その均整のとれた顔があった。
壁に左手をつきその吐息までも感じられるほどの近さに動揺した。
「まぁ、颯人に免じて今回は大目に見てやるけど...?」
沢端の右手が左頬に触れる。
俺の心臓は早鐘を打つ...
漆黒の闇のように真っ黒な瞳に見つめられ俺は動けなくなってしまった。
蛇に睨まれたカエルの気持ちってやつ?頭の中にカエルがいっぱいになり始めたその時。
沢端の形のいい唇が近づき何かを言おうとしたかに見えたその瞬間......
ーーーコン、コン...
「失礼します!!」
反射的に声の方を見やると知らない生徒が会議室に入ってくる。
一瞬、沢端の舌打ちが聞こえたような気がしたと思っていたらいつの間にか沢端が離れて行った。
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