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愛の巣。 #2
当日、実家では入学式とか卒業式だとか、そんなイベント特有の空気で満ちていた。
父は明らかに見ていないテレビを、無言でじっと見つめていたし、
母は早い時間からスーツを着込んでいて、
淡い色のそれを着てコーヒーをいれる母に、みんなヒヤヒヤとした。
私も髪はあげた方がいいかな、化粧は濃くないかな、とさんざん奮闘し、何とかお嬢さん風に作りあげた。
白い膝丈のワンピースにストッキングとハイヒール。まるでドラマの衣装だな。
…この恰好、シンだったらきっと笑う。
そして「騙してる」なんて憎まれ口をたたくだろう。
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