疑惑と不信。

12/16
前へ
/30ページ
次へ
「みお?…わかる?」 目の前で諭すように話す章介が、急に男に見えた。違う体で違う事を考える生き物、だと。 そんなのはいやだ…、章介は章介だよね…? 「わかってるよ…。わかってるから大丈夫。勝手にメール見てごめんなさい」 口をついて言葉は定型文のように、やけにスラリと出ていった。 「うん。みおは何も心配する事ないんだよ。みおの事は俺が一生守るから」 章介はあたしのべったり濡れた頬をぬぐい、抱きしめて布団をかけてくれた。 お母さんが小さな子を寝かしつけるように、ポンポンとリズムを作る。 「みおは俺が守るから……」 けれど、まるでそれは自分に言い聞かせているような響きがした。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加