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「おいで、みお」
俺がそう呼ぶと、みおはいつでも素直に体を寄せる。
好きなの選んで、と帰りがけに買ったドーナツの箱を開けるとみおは一転嬉しそうに笑って指差した。
一番好きなチョコレートのドーナツ。
それを選ぶと思った、と笑うと何故か不思議そうにおれを見上げた。
みおの一番傍にいるのも、みおの事をわかっているのも、俺だけだから。何からも守ってやらないと。
この子が傷つかないように。
子供みたいに純粋で、美しい彼女を。
「…大丈夫だよ、二人はきっとまたやり直せるよ」
思ってもない事を口から出したら、甘いにおいと混じってなんだか目眩がした。
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