恵理の過去。 #2

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章くんは穏やかに笑って背中を向けた。瞬間、あたしは大声で呼びとめていた。 「章くん!!」 あまりの大声にびっくりしたような表情で、章くんはあたしを見る。 綺麗な、深い瞳。 「みお…、まだ中庭いると思う。帰る約束してるから。 あのさ、みお…、みおは何かに傷付いてて、多分。 誰かに心を開くとか出来ないみたい… だから……」 何が言いたいの? うまく言葉が出ない、何を伝えたいのかわからない。 でも。 でも、みおが。章くんが。 頭の中で二人の笑っている顔が浮かんだ。 あたしは何故か、切なくて涙が出そうになる。
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