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思い出してはプリプリして、そんなの自分が悪いんじゃないか、って確かにそうなんですけど。
――この屈折の激しい性格、どうにかしたい
目の前には懐かしの東洋ビルディング。
淡いブルーのその出で立ちは、総ガラスで。――相変わらずの、オッサン……いや。まぁ。
エントランスを抜け、出野部長の部署のある、5階
いや、営業はみんなそこにいるんだけど。
「あれっ?成ちゃん?」
エレベーターホール前。
声をかけてきたのは、
「あっ!乃村さんー!!」
「どうしたの?え?商談?」
「違いますよー、戻って来たんです」
「ええええ!!そんなんアリ!?」
「――あるみたいです」
ちょっと恥ずかしくて。苦笑い。
ですよね、あんまり。格好よくは、ないよな。
乃村さんは3階で降りて、その後ろ背中を見送る。
たった3年の間に。
――乃村さんは、私の同期の彼女とは別の女性と、結婚した。
「……」
渋いわ。渋い。口のなか、渋い。
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