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「――え」
瞬間。
脂汗、なんか知らないけど、身体中からあり得ない気体が噴き出してきたんじゃないか、ってくらいにシャツの中が、蒸れた
「ほら、噂になってたから」
どっ……こで、そんな噂にっ
「違いますよ」
とっさに白々しくそうきり返した。涼しい顔をした私に、五木女史は首を傾げると
「あら、そうなの?」
と、何故か嬉しそうに微笑んだ。
なっ、なんなのこの人。
「だって、私がいた頃には市川さん、彼女いましたし」
「そうそう! あの百菱の子でしょう?」
「あ、はぁ。よくはわかりませんけど……」
話題がそれたのは嬉しいけど、古傷が胸にグサグサ刺さるんですけど……。
「知らないことないでしょ」
「……」
しつ、こい。
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