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おめかしして向かう先は、出野さんに指定された松濤にある小料理屋。
わりと几帳面な出野さんはすでに店についていて、私は店員さんに案内されて奥の個室に通された
和風、というか敷居が高すぎる
「久しぶりだなー」
そう笑顔で片手を軽くあげた、久しぶりの、課長。あ、いや、部長様。
「お久しぶりです」
軽く会釈をして、出野さんの向かい側に腰をおろした
良かった、掘りごたつで。
「どうだ?考えはまとまった?」
神経質そうな、指先をトントン、とテーブルに軽くおとす。
いつになく清潔感のある、ピシャリと仕立てばえのしたピンストライプの濃紺のスーツに、ラフに外したシャツの襟ぐりが
――なんか、久しぶりに会ったせいか、妙に……知らない男性、みたいに見えてしまう。
これぞ、部長の貫禄?え?違う?
「いきなりですか!いえ、その。……ちょっとそれがですね?」
「まぁ、先に何か飲むもの頼め」
「……」
相変わらず、マイペースすぎんだろ、課長。いや、部長。
変わってなくて何よりです。
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