【序章】

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初め、星には何も無かった。いつの頃からか、天上に現れた「神々」は、星に三匹の獣を放った。 大空に、永遠の鳳凰 大地に、知恵の獣 大海に、力の怪魚 後にこれらは、「三大神獣」として語られる事となる。 長い年月の果て、大地に「ヒト」が現れた。ヒトは、高い知恵で高度な文明を築いていたが、その全ては「天上の神々に決められている」事だけは知らなかった。 ある日、下界を見下ろしていた若い神が言った。 「ヒトは、自分の意思と知恵を持っている。何も我々が支配し、導かなくとも、自分達の手で道を切開いていけるのではないか」 そうして、他の神々の反対を押し切り、真実を伝えるべく、下界へと降りていったのだった。神々の最高神コスモフィアは、それを阻止すべく、下界の人々に、自分達、神々の力を与える事を命じた。地上の民が、若い神に抵抗できる様にと。 その日、天上から様々な色をした光の柱が地上に降り注いだ。それは一見、とても神秘的で美しい光景だったが、巨大な力は触れるもの全てを焼き尽くし、星の生態系を著しく狂わせた。 緑は死に、土は枯れ、海は大地に閉ざされた。星は【術力】に満たされ、この世界の全てとなる。 光の柱を受け、殆どの生物は死に絶えたが、生き延びた者たちもいた。しかし彼らは、体質が様々な変化を来しており、後に精霊や魔族として種を確立していった。 この出来事は「虹の雨現象」として歴史上の凶事、または「旧世紀と現世紀の区切り」として語り継がれる事となる。 若い神が地上に降りた時には、星は変わり果てていた。
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