第2話

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私は40歳を過ぎて結婚をしました。 仕事を続けながら、ただなんとなく「自分は一人で生きていくんだろうなぁ」とは感じていました。 年に2回届く積立貯金の残高明細をながめながら、いったいいくらあれば老人ホーム代が足りるのだろう・・・などと、老後のことが心配になったりしていました。 仕事は充実していたけれど、同じような事を繰り返す日々が数年前から繰り返されていたのも事実です。 そんな私が不意に、8歳年下の主人と結婚することになりました。 今考えれば、我ながらよく決断したものだと思います。 このまま一人で不安だけれども自由で、それなりに安定した人生を送るものだと思っていたのに、急転直下、めまぐるしく変化する日々に飛び込んでしまったのですから。 「魔が差した」のかもしれません。 しかし、一度飛び込んでしまった結婚という生活は不思議とそれほど嫌なものではなく、怒濤のように押し寄せる様々な出来事に驚いたり、辟易したりしながらも、それなりに楽しく過ごしていました。 結婚する前に主人に言われたことがあります。 「子供は二人欲しい」と。 私には大きな不安がありました。 実は私の子宮にはやや大きめの子宮筋腫があったのです。 20代の頃に見つかったものですが、数年に一回の検診を続けていました。 幸いな事に悪化することなくここまで来たのですが、子宮筋腫が妊娠によい影響を与えないことは理解していました。 最近は妊娠どころか、結婚すら自分には関係ない事だと思っていたので、悪性化してがんにさえならなければいいや、などと非常に軽く考えていました。 私は主人に「子宮筋腫があるから、妊娠は難しいかもしれない。そうでなくてもこの年だから子供はできないかもしれない」と告げました。 私はこのことで結婚が白紙になっても仕方がないと覚悟していました。 覚悟と言うほどのものではなかったのかもしれません。 今さら結婚なんて私には縁遠いものだ、と自分に言い聞かせる日々でしたから。
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