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「友情を散々引っ掻き回して絶交させた挙句、付き合ったら付き合ったで『イメージと違う』なんてアホみたいな理由で勝手に怒って勝手に別れて。なにが『もっと優しいと思った』だアホか! お前にとっての優しさは金出すかどうかか! バイトもしてねえ中学生にブランド物が買えるはずねえだろ常識考えろ!」
それを契機に、安全な道から踏み外したんだか、召喚されるまでのこの2年はいろいろと酷かった。実に酷かった。自分の女運のなさを痛感した。そりゃ性格がこうもねじ曲がるわけだ。
ゼーハー息を切らせた俺に、葵のドン引いた視線が突き刺さる。やべえ久しぶりに気が抜ける相手に会えたからってブチまけ過ぎた。病み上がりだってのに。
「悪い、頭に血が登った」
「いや、うん、俺も悪かった。ハーレムは鈍感主人公じゃないとキツイんだな、うん」
おいそういうことを言いたかったんじゃない。
なんかもういいか。生きてるし、再会できたし。息を吐き出して椅子に崩れた俺に、おっさんくせえと葵が笑う。いーよおっさんでも。
「……すげえ心配した」
「ん?」
「血塗れのお前見て、心臓止まるかと思った」
「あー……なんか、ごめん」
罰が悪そうに頭を掻く葵に、なんでお前が謝るんだよ、と揶揄する。はたと何かに気づいたように目を見開いた。
「つーかお前が召喚に巻き込んだせいだろ!」
「元はと言えば葵が足引っ掛けたからだろうが!」
「召喚されるお前が悪い! お詫びに霜降り牛のステーキでも食わせろ!」
「わかった」
まさか了承するとは思わなかったのだろう、へ、と間抜け面になる。
「巻き込んで大怪我させたのは事実だ。……悪い」
「……殊勝な悠斗って気持ち悪いんだな」
「おまっ、人が真面目に謝ってんのに!」
自分を抱きしめてドン引いた目で見てくる葵をどつく。俺病み上がり!、との主張は無視した。十分元気じゃねえか。
「アーダにステーキ作ってもらってくる」
「おばちゃんの飯か、ライスつけてくれ」
「残念ながら米はねえよ。パンで我慢しろ」
気持ちはわかるけど。グナーデ国内で稲作はされていない。領地内で稲作に合う気候の場所がないせいだ。それくらい魔法でどうにかしろよと思うけど。歴代勇者たちもなんとかしようと考えなかったんだろうかね。記録を見る限り、皆日本人のようだってのに。
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