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「今、すっぴん?」
はああ! しまった!
服にばかり気を取られて化粧を忘れてた。
「あの、わたし、ちょっとメイクを……」
「ごめんごめん、いいよ、そのままで。十分きれいだ」
席を立とうとした私をやさしく押し留めた。
しょうがないのでそのまま椅子に戻ったけど、せめて手のひらで顔を覆い隠したい。
だけど澄川部長は。私の腕を取ったまま。
「この服手触りいいね」
「そうでしょう。お気に入りなんです」
それからその手はわたしの手の甲をやさしく撫でる。
その手にわたしの指をからめてみる。
部長の膝にいるカズはなにも見ていないように目を閉じている。
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