S-3

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「今、すっぴん?」 はああ! しまった!  服にばかり気を取られて化粧を忘れてた。 「あの、わたし、ちょっとメイクを……」 「ごめんごめん、いいよ、そのままで。十分きれいだ」 席を立とうとした私をやさしく押し留めた。 しょうがないのでそのまま椅子に戻ったけど、せめて手のひらで顔を覆い隠したい。 だけど澄川部長は。私の腕を取ったまま。 「この服手触りいいね」 「そうでしょう。お気に入りなんです」 それからその手はわたしの手の甲をやさしく撫でる。 その手にわたしの指をからめてみる。 部長の膝にいるカズはなにも見ていないように目を閉じている。
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