1.幼なじみのいる日常

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   それからシュート練習をしている事10分、体育館の扉が開いて響華が入ってきた。 「響華、生徒会の人に呼ばれたんだって?」 「あぁ。まぁ呼ばれたと言うか、話があったのは私の方なんだけどね」  バッシュのひもを結びながら響華が答える。 「話?」 「来年から生徒会に入る事にしたんだ」  あまりにもあっさりとそんな事を言われて、俺は一瞬反応できなかった。 「……マジで?」 「さすがの私もそんな冗談は言わないよ」  響華はそう笑うと体をねじって準備運動を始めた。どうやら本気らしい。 「この間会長に誘われてね、少し迷ったが入る事にしたんだ。どうだい一ノ瀬も」 「いや、遠慮しとく……」  陽山高校の生徒会は、体育祭や学校祭、その他学校行事の企画や運営を任されている組織だ。というのは他の学校でも同じなのかもしれないけど、陽山高校では先生達が完全に裏方に回り、生徒会がメインとなる。  そのせいで体育祭では高校生なのにフランスパンを使ったパン食い競争だとか、500ミリリットルのコーラを一気飲みする障害物競争だとか、結婚したい人とかいうふざけたお題が出てくる借り物競走とかがあって、学校祭ではベストカップルコンテストのアピールタイムの時間が直前で5分から5秒に変わったりと、色々とやりたい放題になっている。  正直な話、運営側からしたら楽しいだろう。この上なく。だけどその分生徒会の負担ってかなり大きいものだと思う。 「まぁ、そっちは冗談だけどね。さてと……今日から合同練習かな」  軽く笑うと、響華は男子バスケ部の有様を見てそう言ってきた。 「話が早くて助かる」 「あぁ。それにしても、3年生が引退した途端これとはね」 「山本先輩達が勉強教えてたんだっけ?」  山本先輩とは元副部長の先輩だ。夏で引退したので秋から入った俺は数回しか会ってないけど、かなり頭の良い先輩だった。 「あぁ。3学期からは一ノ瀬がみんなに教えてあげないといけないね」 「俺もそんなに頭良くないんだけどな……」  というか、冬魅に教えるだけで精いっぱいだ。他だって静香も結構アレだし、恵介もアレだし……あの2人も俺や響華や礼さんが見てやらなかったら間違いなく今頃追試をしているだろう。  
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