2.聖夜、無茶振り、出逢い。

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  「こ、これがジェネレーションギャップというやつなのか……」 「カズももうオッサンの仲間入りだね~」  意地の悪い笑みを見せて三葉が言ってくる。いつだったか父さんが平成時代が歴史の教科書に載ってるなんて、と驚いていたけど、その気持ちが今わかった気がする。 「でもまぁ1192年でも間違ってはいないんだけどね」 「ん、どういう事だ?」 「江戸幕府とか室町幕府は将軍宣下があった時点で開かれた事になってるでしょ? そういう見方をすると1192年になるんだよね。源頼朝が征夷大将軍に任命されたのが1192年だから」 「しょうぐんせんげ?」  習った記憶の無い単語が出てきた。 「で、1185年は源頼朝が平家を滅ぼして守護地頭の設置をした年なんだけど、実質的にこの時に日本全土を支配したっていう事になるから、鎌倉幕府が開かれたのは1185年の方が正しいんじゃないかって事」 「ほ、ほう?」 「他にも80年説と83年説と90年説もあるんだけど、別に今まで習った事が間違ってたって訳じゃないの。どこで幕府が開かれた事にするか、ってだけだからね」 「な、なるほど……」 「だから私が先生だったら鎌倉幕府が開かれた年号は、なんて問題は出さないね。1185年も1192年も正解だもん。それだったら鎌倉幕府の成立には1185年説と1192年説があるけど、それぞれの根拠を説明しなさい、とかにするかなぁ」 「…………」 「あれ? どしたの?」 「もう三葉が代わりに教えに行ってくれ……」  鎌倉幕府だけでこんなにも違いがあるなんて……ダメだ、俺に教えられる事は何も無いかもしれない。 「大丈夫だって、他は確か一緒だから」 「っつーかお前なんでそんなに詳しいんだよ。学校でそこまで習ったのか?」 「うん。まぁその辺は先生がざっと話しただけだけど」  なんでざっと話しただけの事をここまで覚えてんだよ! 俺一気に自信無くしたよ! 元々無かった気もするけど! 「ま、せいぜい頑張ると良いよ。世の中知ってて損する事は無いからね。あ、忘れてた。早くご飯食べよ」  そう言い部屋から出ていく三葉。世の中知ってて損する事は無い、か。まさか中学生からそんな言葉を聞くなんて。あれか、三葉達ってテレビとかでたまに聞く悟り世代というやつなのか?  
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