1.幼なじみのいる日常

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  「アルバイトをするのは結構な事だ。しかしそれが原因で遅刻、それもかなりの頻度となるとクラス委員として見逃せない。よってクラスを代表してお前に言う事がある」  響華は鋭い目つきで恵介を睨み、大きく息を吸った。真面目な響華はこういう不真面目な態度や行動をする人を許さない。 「ビシッ」  ……嘘だ。 「……お、おう」 「む、反応が薄いな。駄目だよ百合花、新しいボケを考えよう」 「もう、私に振らないでよ」  恵介のリアクションに満足いかなかったらしく、響華は残念そうに前の席の西条百合花(サイジョウ ユリカ)に声をかけた。響華の小学生時代からの親友らしい百合花は、長い茶髪と抜群のスタイルでクラスメートの男子共からとある部活の元部長まで虜にするお嬢様。ちなみに数ヶ月前に堂々とナンパしてきたとある部活の元部長と良い感じの関係。 「ねねねメグ、ちょっと訊きたい事があるんだけど。この前のゲームの事」 「おう、何だ?」  百合花と恵介がゲームの話を始めた。百合花は大のゲーム好きだ。弟と一緒に夜更けどころか夜明けまでやっているらしい。それでいていつも健康そうな顔をしてるから不思議だ。 「ところで一ノ瀬、クリスマスの予定は決まっているかい?」 「24はバイト、25は何も」 「バイト?」 「冬休みだけバイトをする事にしたんだ。部活は午前中だけで暇だし」 「なるほどね。冬休みの短期アルバイトとなると、郵便局かな?」 「ん、正解」 「へぇ、一輝バイト始めんだ。時給いくら?」 「740円」 「フハハッ、俺は870円だぜ! 土日祝日早朝は100円アップ!」  恵介が勝ち誇ったように笑う。そりゃー郵便局で年賀状を仕分けるだけの俺とケーキ屋でケーキ作りから接客までやるヤツが同じ給料なはずが無い。 「恵介は冬休みもびっちりか?」 「や、結構休み多いな。このままだと年収103万越えちまうんだ」 「越えるとどうなるんだ?」 「ヤバい」 「親の扶養から外れるんだよ。そうなると親が税金を多く払わないといけなくなるんだ。扶養者控除×税率分だね」  恵介の代わりに響華が答えた。年収103万か……仮に時給1000円のバイトをしたとして1030時間。大体毎日3時間か……そう考えると短いような長いような微妙な時間だ。確かに平日の早朝や休日にビッチリ働いている恵介はそのぐらい行ってるかもしれない。  
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