第2話

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そこにあったのは 油紙というのだろうか よくわからない紙に包まれた ”ピストル” だった 震えた 脂汗がにじむ手でつかむ 何が自分に起きているのか? 感覚的に分かった 本物だと それは重さ? 色? いや そのたたずまい リボルバーという形だ 別に詳しい訳ではない ただ 見たことがある形 幼い頃に男の子は必ず憧れる 持ってみたくなる それはヒーローもののアニメのせいなのだろうか それとも本能なのだろうか 刻み込まれた過去なのだろうか 分からないが 回転しながら弾が出る形 昔 学生時代にグアムに行った 初めての海外旅行 友人達と 円高が後を押した バブルのはじける ほんの一年前 景気が良いとも体感はしていなかったが ずいぶんと安く海外に行けるものだと 実感した そこで観光客相手の店で 撃ったことを思い出し 恥じた おぼろげな思い出が横切った そんなに良いものではなく 後味が悪かった 今 あのときと同じ 黒い筐体 それが手の中にある また震えた 警察に行くのか? こんなモノが届きましたと? 面倒な時間が想像された 家もぐちゃぐちゃにでもされるのだろう 自分に後ろめたさはない が 知らないところで何かに巻き込まれていないとは 言い切れない 犯罪に知らないうちに 踏み込んでいたら? とにかく 持っているだけで吐き気がする 分けも分からない感覚のまま 小さな2ドアのグレーの冷蔵庫 あまり使っていない冷凍庫に 油紙?で包み直し 突っ込んだ 次に開けたら きっと跡形もなくなる そんな分けはないのだが できるだけ奥につめ 冷凍庫のドアをしめた
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