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そこにあったのは
油紙というのだろうか
よくわからない紙に包まれた
”ピストル”
だった
震えた
脂汗がにじむ手でつかむ
何が自分に起きているのか?
感覚的に分かった
本物だと
それは重さ?
色?
いや
そのたたずまい
リボルバーという形だ
別に詳しい訳ではない
ただ
見たことがある形
幼い頃に男の子は必ず憧れる
持ってみたくなる
それはヒーローもののアニメのせいなのだろうか
それとも本能なのだろうか
刻み込まれた過去なのだろうか
分からないが
回転しながら弾が出る形
昔
学生時代にグアムに行った
初めての海外旅行
友人達と
円高が後を押した
バブルのはじける
ほんの一年前
景気が良いとも体感はしていなかったが
ずいぶんと安く海外に行けるものだと
実感した
そこで観光客相手の店で
撃ったことを思い出し
恥じた
おぼろげな思い出が横切った
そんなに良いものではなく
後味が悪かった
今
あのときと同じ
黒い筐体
それが手の中にある
また震えた
警察に行くのか?
こんなモノが届きましたと?
面倒な時間が想像された
家もぐちゃぐちゃにでもされるのだろう
自分に後ろめたさはない
が
知らないところで何かに巻き込まれていないとは
言い切れない
犯罪に知らないうちに
踏み込んでいたら?
とにかく
持っているだけで吐き気がする
分けも分からない感覚のまま
小さな2ドアのグレーの冷蔵庫
あまり使っていない冷凍庫に
油紙?で包み直し
突っ込んだ
次に開けたら
きっと跡形もなくなる
そんな分けはないのだが
できるだけ奥につめ
冷凍庫のドアをしめた
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