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凪ちゃんは女の子たちにも人気でいつの間にか話の中心になっていた。何故か初対面の人にも好かれる人っているもんだ。
まあ、睨んでる子たちもいたけどね。片岡さん人気あるし。
しばらくして、稲葉さんがやって来たので、片岡さんが凪ちゃんを紹介していた。
稲葉さんは電話で話したことがあるらしく、イメージ通りだー。可愛いねー。などと話していた。
すでに酔っぱらった誰かが、前さー片岡先輩は稲葉さんに振られたんだよー、と言うのが聞こえた。
あ、やばいと思ったら、凪ちゃんはにこっと笑って、
「片岡さんは今でも、澪さんのこと好きなんですよ」
と、しれっと言った。
その辺の人がえ?となって、
稲葉さんもえ?という顔をした。
「なーぎ、よけいなこと言わない」
片岡さんが凪ちゃんを睨んで言うと、彼女はふふふっと笑った。
こ、怖くないのかな。
片岡さんはビールを飲み干して、凪ちゃんを見て、さらに言った。
「今は凪のほうが、もっと好きだよ」
凪ちゃんは、片岡さんをじっと見つめ返して、わかってる、と言った。
俺たちはみんな、えーっ!と心の中で叫んでいた。なんか片岡さんキャラ変わってるし!
片岡さんは無愛想で、毒舌の人だった。人にも厳しいけど、自分にはもっと厳しくて。ストイックな人だから、俺たちはなお憧れていた。
強気で、弱味を見せなくて、いつもカッコつけてる。そんな人だったはず・・・・なんだけど。
片岡さんはそれからも凪ちゃんから目を離さなくて、凪ちゃんにまとわりつく後輩たちを、いちいち引き剥がしに行っていた。
暫くしたらそれもめんどくさくなったのか、自分の隣に連れてきて「ここから動かない。いい?」と言って、凪ちゃんにあきれられていた。
片岡さん、面白すぎる!
女の子にかまう片岡さんを見るのは新鮮で、俺たちにはそれすらも酒の肴になった。
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