第2話

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<凪目線> 恋をしているだけでいい。好きでいるだけでいい。とマルコに言った時、たしか彼に言われた。 『ナギ、あんたは間違ってる。恋はもっと盲目的で、傲慢なものよ』 その言葉がやっと今理解できる。 穏やかにひとを愛するなんて、無理なんだ。 見ているだけでいいなんて、嘘なんだ。 それは私がまだ子供で、あのひとに追い付けていないから、なんだろうか? でもそれなら、どんな風に愛するのが正解なんだろう。 ねえ片岡さん、あなたはそれを教えてはくれないの? こんなにあなたが好きで、触れたいと思って、触れてほしいと思う。あなたが私でない誰かに微笑むたびに、激しく心が揺れる。 あなたが遠くを見るたびに、その胸に住んでいる人に嫉妬する。 あの時たしか私は、 『私はただ、好きでいたいの。彼の心に住んでいるのが、たとえ澪さんでも』 そんな愚かなことも言った気がする。 会ったことも見たこともない澪さんは、私の中でいつの間にか聖母マリアのような人になっていた。 夢の中で彼女はやさしく腕を広げ、彼をその胸に抱く。彼はまるで子供のように目を閉じていた。 その姿を見て、私は1人で泣いた。 店でマルコにそれを話すと、ふふんと笑われた。 『ナギもまあ、少しは大人のオンナに近づいたわね。穏やかなだけの恋なんて、無いのよ』 そう言ってマルコは、あとはワタルね。と呟いた。 『だってマルコ、片岡さんは私よりずっと大人だよ』 不思議そうに尋ねるとマルコは、ため息をひとつついて、 『そうでもないわよ。ワタルは男だから』 と言った。
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