第2話

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<航目線> NOVE LLA(ノヴェッラ)が街に出回る時期が来て、アルカーデのメニューにも登場することになったらしい。 『是非来てね』とラーラに言われていたので、ありがたく皆でお邪魔することにした。 絞りたての若いそのワインはとても爽やかで、馴れてない感じがいいなと思った。 壁際の席で煙草を吸いながら店の中を見ていると、ラーラがそっと隣に座った。 最近俺は、煙草を隠さなくなっていた。 『どう?ワタル。若くて新しいワインの味は』 『ええ、とても素敵ですね。若い、この香りが刺激的です』 ラーラは目を細めて言った。 『熟成させて、時間が経って初めて生まれる味もあるけど、これからどんな風にでも変わっていける若さって、ちょっと捨て難いわよね』 煙草の煙りをふーっと吐いて、ラーラは俺を見つめた。 それは・・・・・ワインの話ですよね。 『ワタルは何故、ナギの手を取れないのかしら?』 唐突に、ラーラが言った。 『・・・・・・え?』 『それは・・・昔の恋を引きずっているから?それとも彼女の若さが怖いから?』 俺は苦笑いするしかなかった。 『どっちも・・・・かな』 『そう・・・・だとしたら、とても不幸ね。恋人たちに明日がある保証なんて、どこにもないのよ』 俺は言葉を返せなかった。俺は歩き出せないでいる。それはやはり不幸なことなんだろう。 『見て・・・・・ワタル』 ラーラの視線の先には彼女がいて、ジャンニが彼女の手を握っているのが見えた。彼は何か囁き、鮮やかに彼女の頬にキスをした。 ラーラは俺を見つめた。 『ナギは若くて、誰からも愛される権利がある。そうでしょう・・・・?』 俺の胸の中はたしかにざわめいていた。あんな瞬間を俺は見て、これからずっと耐えていくべきなんだろうか?誰か若い男が彼女の手を取って歩き出すのを。 思わず俺は口にしていた。
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