プロローグ

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プロローグ

拝啓 少しずつ過ごしやすい季節になってき ました。 いかがお過ごしでしょうか? 私は今、ある場所にいます。 ずっと縛られ て生きてきた私にはぴったりな場所だと思 います。 もっとも私は自ら縛られたのですが、すでに そのような生き方しかできなくなっているよ うです。 あれから随分の刻が経ちました。 もうお梅さんには会えましたか? またあの時のように仲睦まじく暮らしている でしょうか。 新見副長や野口さん、平山さんにももう会え たのでしょうか。 まだあなた達の元へは行けませんが、きっと すぐに私もーーーー 「琴羽ーーっ!」 「………っ! はい、今行きます!」 呼ばれた声に驚きながらも返事を返す。 気がつくと手に力が入っていて端が寄っていた。 そっと皺を伸ばすと筆を置き、それを手に取り全体を見直す。 結構綺麗に書けましたね……。 書いたことなかったから不安だったけど……以外と大丈夫そうです。 薄く微笑むとそれを文机にしまった。 続きはまた後で……。 文机を二、三度撫でててから立ち上がり部屋を出た。
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