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「ふん、あんなのでも信じてたんだな。 かわいそうに」
「な、んで……? 意味が、わからな……」
唖然としている私。
自分の置かれている状況が全くわからなかった。
「私、どうなるの……?」
その場に崩れ落ちた私の目からは一粒の涙がこぼれ落ちた。
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「ここですか?」
「ああ、精々頑張ってこい」
「はい……」
頷く私の隣には姉の桜咲の姿もあった。
泣き腫らした目が痛々しい。
私達がこのようになった原因。
それは、家が破綻したせいらしい。
お父様とお母様は私達を売って二人だけで逃げたというわけ。
「行こ、桜咲様」
「そうね……」
そうして足を踏み入れたのが東城家だった。
それから私と桜咲が会話を交わすことは二度となかった。
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