第3章 探し求めて

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「久しぶりやない! 今までどうしておいやしたん?」 「すみません、あまり顔を出せなくて。 それで、あの……少しお願いがあってここに来たんです」 「まあ、なんやの? あんさんがお願いやなんて珍しおすなぁ」 にこにこと笑みを絶やさないところを見ると拒絶されているわけではないようだ。 「暫くここに置いてもらえませんか?」 「……へ? また何やおしたん?」 「いえ、私の勝手なお願いです」 不思議そうな顔をしながらも中へ入れてくれる翠子さん。 そうして通されたのは以前私が使っていた部屋だった。 「どないしたんや? 突然うちに来るやなんて、ほんまになんもないん?」 「……簡潔に言うと、名を伏せて誰にも見つからないように過ごしたいんです」 私が言うと翠子さんは顔を顰めた。 やはり突然こんな事を言って置いてもらえるわけはないのかもしれない。 「そら……匿まって、ちゅうことどすか?」 「まあそういうことになります」 頷くと今度は悲しそうな顔をして私の頭に手を置いた。
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