第4章 面影

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あ、藤堂さん。 私が目的の場所につくと既に人の姿があり、そこにいたのは紛れも無くその人だった。 私が少しの間無言で立ち尽くしているとこちらに気がついたのか、愛想笑いを浮かべて軽くお辞儀をした。 「こんにちは。……あ、もしかして、芹沢さんか平山さんの知り合いですか?」 「……へぇ。 芹沢はんはうちの店によう来てくれはってたから、挨拶をと思うて寄らせて貰うたんどす」 そう、私が訪れた場所とは芹沢さんと平山さんのお墓だった。 言葉の通り、流石にお葬式には出られなかったから一度は挨拶に来たかったのだ。 壬生浪士組改め新撰組となった隊士たちに見つかっては困るから、早々に切り上げようと手紙を書いて来たというわけ。 「そうだったんですね。 それでは邪魔しては悪いので私は失礼します」 「へぇ、おおきに」 結局鉢合わせてしまったけれど、正体がバレなかったので良しとしよう。 冷静さを保つよう心がけたが、内心では気が気でなかった。 藤堂さんの姿が見えなくなると、私はお墓の前に立つ。 「………お久しぶりですね、芹沢さん、平山さん」 手を合わせて軽くお辞儀をすると手紙を置く。 そうしてすぐにその場を立ち去った。
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