プロローグ 真夜中の疾走

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プロローグ 真夜中の疾走

ここは広大なマーデン大草原。穏やかなモンスターから凶暴なモンスターまで多種多様なモンスターが生息し、弱肉強食の世界。 昼間は人が近づいても襲わないモンスターも夜の帳が降りると、凶暴性が増す。 見つけた何かが彼らにとって『餌』と認知する、それは『餌』となる者の命は無いと思って良いだろう。 そんな夜に男の掛け声と手綱捌きに合わせ一台の大型の馬車が疾走…いや暴走と呼べる速さで大草原を、砂煙を立てつつ車輪の、けたたましい音を鳴らしながら一直線に走って行く。 馬車には30代前半の男、そして20代前半と思わしき男の2人、1匹の狼が同乗しており、荷台には多量の品物が所狭しと積み重なっている。 2頭の馬の手綱を引いてる彼の名はマルク=アット、通称『マルク』 行商人であり魔術師である。 行商人の職業のリスクとして凶暴なモンスターの生息する広い草原など、危険な地帯を通り抜けざるを得ない状況が幾多もある。 しかし行商人全てが剣術や魔法に長けてるわけでは無い。 普通は危険な地帯を渡るには商人は傭兵や魔術師を数人雇うのが常だ。 だが彼は、己の身を守る為の高度な攻撃、補助魔法は既に習得しており杖術も習得しているが専ら魔法が専門である。彼ともう一人の男だけで戦闘に事足りてしまっている為、傭兵等を雇う必要が無いのだ。 彼は、魔術師の階級の中でも、この若さでマジックマスターの位に位置し、本来ならば知識と実力を生かし宮殿の要職や、最上級魔法学校の教頭などに就いてしかるべき実力を持ちながら、なぜ行商人などとの仕事をしてるかは本人以外、知る由も無い。  
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