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『あんたとはもう覚悟が違うんだ。』
『あたしは風見野に戻る。これからはあたしのやり方で戦うよ。』
風見野にある大きい教会で、佐倉杏子はふとあの時のことを思い出していた。
魔法少女の先輩、巴マミと戦った時のことを。
『あなたは私にとって、初めて志を共にできた魔法少女だった。』
『他の魔法少女とは違うって信じてた。本当にそれでいいの?あなたは孤独に耐えられるの?』
巴マミの言葉は寂しそうに、どこか泣きそうな声で聞こえた。
『…いままで世話になったね。』
そういってあに場所から立ち去り、風見野へと戻ってきた。
今となってはただの廃墟となってしまった教会の階段に座りながら、りんごをかじりそんなことを思い出していると、九王会の入口から聴き慣れた声が聞こえた。
「あの時巴マミと別れたことを後悔しているのかい?」
いつものように変わらない表情で、変わらない口調で喋るキューベーがそこにいた。
「後悔するのも無理はないと思うよ?僕が見る限り、君たちふたりの関係は素晴らしいものだったからね。でも___」
キューベーはこちらに向かいながら続けた。
「___君自身が魔法を使えなくなってしまった。自らの願い事を他人のことにつかい、そしてその願いに裏切られた君は、自ら無意識のうちに魔法を拒絶した。魔法を使えなくなりながらもなんとか魔女に勝利した。しかし君はグリーフシードを使い自らの意思でソウルジェムを浄化することを拒んだ。そのまま死ぬつもりでったんだろうけれど、そこに巴マミが現れて君のソウルジェムを浄化し、命を救った。
しかし再び命を救われたきみは___」
「うるっせぇぞ、ぼんくら。んなこといちいち言うな。」
佐倉杏子がキューベーの言葉を遮った。
杏子はそう言うとリンゴを食べ終え、立ち上がった。
「そろそろ行くのかい?」
「あぁ、ちょっくら魔女退治にね」
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