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目を開けると、見慣れない部屋。
向こうに見える本棚以外、何もない。
……そうだ。
昨夜、私、戸川君と…。
背中には温かな人肌。
頭の上からは、
規則正しい寝息が聞こえてくる。
ちょうど私が戸川君の顎下におさまるように、重なって寝ていたらしい。
しばらく満ち足りた気分で彼の寝息を聞いていたけれど、不意に自分の格好が気になった。
昨夜、薄いメークとはいえ
顔も洗ってない。
しかも泣いたし。
戸川君が起きる前に、
せめて鏡で顔を……
起き上がろうとすると、
体がずっしりと重くて動けない。
見ると、
お腹に戸川君の腕が巻き付いていた。
そうっと手をかけて腕を外そうとしたら、逆にぐいっと力が込められた。
「……起きてる?」
「……」
返事はない。
仕方なくずるずると体を引っ張って強引に抜け出そうとしたら、
「う…わっ」
突然ぐいっとお腹を引かれて、
体を引っ繰り返された。
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