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「洗面所、先に使うか?」
「…えーと……」
そうしたいけど何しろ裸で、
戸川君がいたら布団から出られない。
床のどこかに服が落ちてないか、
目だけキョロキョロする。
「……ほら、」
屈んで何かを拾いあげた戸川君が
私の目の前にぶら下げたのは、
昨夜彼が取り去ったチュニックと下着。
「……わぁっ」
彼の手から引ったくって、
恥ずかしさのあまり布団に突っ伏した。
…裏返ってたし。
もういや、もういや。
クスッと笑う気配がして、
布団に顔を埋める私の肩と背中に
彼の唇が優しく触れた。
「リビングにいるから。
ゆっくり着ろよ」
そう言うと彼の気配は離れて、
バタンとドアが閉まる音がした。
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