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自然にその日は一緒に過ごすことになり、とりあえず私の身支度のために私のマンションまで二人で歩いた。
「あ……しまった」
ところが、
昨夜崎田さんと揉めたまま、
部屋が散らかっているのを
私はうっかり忘れていた。
「なんか…
前に来た時より荒れてないか?」
「だって、崎田さん帰った後、
急いで公園…に…」
言ってからしまった、と思った。
“崎田”の名前が出た瞬間、戸川君の眉がピクッと上がったのが分かった。
「ごめん、
支度したら片付けるから、そこ座ってて」
どうしても戸川君は崎田さんが嫌いらしい。
慌てて洗面所に逃げて顔を洗い直し、手早くメークをした。
部屋に戻って出しっぱなしになっていた服を片付ける間、戸川君は私が会社から持ち帰った雑誌を読んでいた。
「…へぇ」
「何?」
「事業デザインに関わる今の仕事には大きなやりがいを感じています、か」
「ちょっと!何読んでるのよ」
背中を向けていた私は仰天して振り向いた。
「憧れのキャリアガール特集。
インタビュー記事だよ」
少し前に雑誌の取材を受けたのが発刊されて、広報から私に一部送ってきたものだった。
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