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「……悪い」
「……」
床のラグの上に重なったまま息がおさまるまで抱き合った後、乱れた服を彼が直してくれた。
「せめてベッドにして欲しかった」
「ベッドは駄目だ」
「なんで?」
戸川君はムッとした顔で目を逸らした。
「ねぇ、なんで?」
「言っとくけど、
俺のベッドは新品だからな」
「…まさか」
崎田さんと使ったベッドは嫌とか?
ここで笑ったら絶対に許してくれなさそうなので、緩みそうになる顔を引き締めた。
さっき崎田さんの名前が出た時からどこか不機嫌な顔をしていた理由も、強引に求めてきた理由も分かった気がした。
「あの…」
すごく言いにくいけど、
誤解は解いておきたい。
「ないよ。
ここに泊まったこともないから」
「…なんも言ってないだろ」
顔を逸らしたままの戸川君が可愛く思えて、ぎゅっと抱きついた。
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