初めての朝と幸せと不安と

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「でもさ…。 ベッド新品て、それもやだ。 買い替えるほど使い込ん…」 「アホか」 言い終わらないうちに 軽く頭をはたかれる。 「だって! とっかえひっかえって聞いたもん」 …来る者拒まず、去る者追わず、 だったかもしれないけど。 「誰だよ、そんなデマ流す奴は」 「えーと…三浦君、かな」 奴か、と戸川君が舌打ちした。 「学生時代から使ってたやつ、 渡米前に処分したんだよ」 「そっか…」 「女泊めたりしてないの、 洗面所見てわかっただろ」 「うん…」 腕の中で微笑んで目を閉じた。 落ち着いていて、 一見冷たそうな戸川君。 でも触れる度、 少しずつ彼の性格が見えてくる。 飾り気なくて強引で、 でも本当は優しくて。 そして意外と、 いや、かなりのやきもち妬きだ。
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