初めての朝と幸せと不安と

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お昼は前に二人で食事したお店に行った。 お腹が落ち着くと、のんびりととりとめのない話をした。 でも、普段仕事漬けの私達は、 当然のように仕事の話も混じる。 「…そういえば、片桐さんって知ってる?数年前、米州部だったらしいんだけど」 「俺、渡米前はアジア部だったから直接は知らないけどな」 「今度、経企室に来るんだって。 私、コンビ組むことになったの」 「…片桐さんと?」 「うん。 だから、どんな人かなぁって」 戸川君は少し料理をつついた後、 短く返事した。 「…いい人なんじゃないの? 評判よかったし」 「王子って呼ばれてたって聞いたよ。 すべてパーフェクトって」 「…そうらしいな」 そのまま戸川君は黙ってしまい、 この話題はここまでだった。 戸川君があまり片桐さんの話に乗ってこないことを不思議に思ったけれど、話題はすぐに切り替わった。
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