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「渡辺には悪いけど、あまり付き合ったとも言えない短い期間で、俺が社会人になる時に別れた。
また会うとは思わなかったよ」
「…縁故入社したって聞いたよ。
戸川君を追いかけて、って」
「それはどうか知らないけどな。
でも、また小野寺と何か嫌がらせしてきたら、すぐ言えよ」
「うん…。
でもね。不思議なんだよね」
ずっと感じていた疑問。
「渡辺さんは分かるんだけど…。
小野寺さんが、なんで私にあそこまで敵対心持つのかなって。
戸川君とのことまで邪魔しようとしたでしょ？」
「渡辺と共同戦線張ったんだろうな。
でもな、小野寺も複雑らしいぞ」
「どんなふうに？」
「本当は腰掛けじゃなくてキャリア積みたかったのに、就活で失敗したらしい」
「それで仕方なく縁故で？」
「縁故だと、早いとこ辞めなきゃだろ？
親もうるさいらしいしな」
「そうなんだ…」
挫折して、結婚を急かされて。
不本意な人生だって感じてるのかもしれないけど、でも、それを打破する努力はしてるんだろうか？
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