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戸川君のマンションに戻り、
ソファで本を読んだり、
まったりと休日の午後を過ごす。
「…眠くなってきた」
「私も…」
戸川君が寄り掛かってくる。
彼の頭をそっと抱いて、髪に指を通した。
「セックスして、食べて、寝る。
情けないぐらい三大欲に忠実だよな、俺達」
「セッ…!
やめてよ、そのあからさまな言い方!」
「だってそうだろ」
「私はね、そんな欲とかじゃないんだから!
気持ちで…その…」
くいっと顔を上げて、戸川君が笑った。
「気持ちって、どういう気持ちだよ?」
「……ゆうべ言ったよ」
「も一回言ってみろ」
「やだ」
「ゆうべは可愛かったのに」
「もう絶対言わない」
「ほら、言え」
「……」
そんな会話をしながら、いつのまにか私はソファで眠ってしまったらしい。
気が付くとベッドの中で、
戸川君に包まれていた。
何かにつけて私を苛めるのが好きな彼だけど、結局は優しい。
彼の寝息を聞きながら、
温かな胸に頬を寄せて目を閉じる。
「夜ご飯、何か作ってあげるね」
そう小さく囁きながら、
もう一度眠りに落ちた。
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