嫉妬と煽情と初めての夜 #2

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戸川君は意地悪だ。 安心をくれる言葉も、 彼の心を約束する言葉もくれない。 くれたのは、私を縛る言葉だけ。 それでも、私が彼を好きだから、 この瞬間だけで十分だと思えた。 演技じゃないって言ってくれたこと。 今はそれだけでいい。 二人の間に挟まれた私の腕がもどかしくて彼の首に腕を回すと、キスが次第に深くなった。 密着した体が倒されて、 ずるずるとソファに崩れていく。 覆い被さる彼の重みに体が熱く痺れて、首筋を伝う彼の唇に息が乱れた。 私の膝を割る彼の脚に、 もう何の抵抗もできない。 でも突然、 戸川君は突き放すように 私の体を放して起き上がった。
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