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必死に堪えていた声がつい唇から零れて、
思わず手で口を覆う。
その手を戸川君がそっと外した。
固く握った私の指をほどき、
小指に薬指に一本一本、
指先に優しくキスをする。
私が大切だと伝えるように。
無茶苦茶にしそうだと言ったくせに、
苦しそうな吐息は堪えきれない彼の熱を伝えているのに、
なのにどこまでも優しいそのキスに、涙が滲んだ。
私を優しく呼ぶ彼の声に、
焦点の合わない目を必死で開き、
彼を見上げた。
力の入らない腕を彼に伸ばし、
指先で頬に触れる。
「好き……」
一度口にすると、
もう止められなかった。
「好き」
どうしようもなく好きだから、
あなたのものになりたい。
「お願い…」
乱れた息の中、
擦れた声で伝えた言葉に、
戸川君の目の奥がぐらりと揺れたのを感じた。
「紗衣…」
苦しそうに私の名を呼ぶ彼声を聞いた次の瞬間からは、もう訳が分からなくなった。
甘く漏れた声は彼の唇に塞がれ吸い取られ、私はただ彼にしがみついた。
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