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職員室からこの教室まで結構な距離だ。
その距離を人形の姿で歩いてきたなんて、考えただけでゾッとする。
「人に見られた?」
「どうかしら? 授業中で人もいなかったし、大丈夫じゃないかしら?」
たしかに、もし見られていたらもっと大騒ぎになっているはずだ。
「とにかく、放課後まで斉藤先生の机の上でおとなしくしててよ。ぼくが勝手に持ちだしたって思われちゃうよ」
せっかく戻ってきたのに、また斉藤の元へやるのは口惜しかったが、今はそうするしかない。
もし、ぼくが勝手に持ち出したなんてことになったら、それこそ二度と手元に戻ってこない場合も考えられる。
ぼくは、鞄ごと美香さんを持ち出し、職員室へと向かった。
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