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引きずり上げられるような感覚。
フワフワのものに包まれているような感覚。
ぼんやりとする意識のなか目を開けてみる。
「まあ!目を開けたわ!」
女の人……?
視界に広がる金髪に青い眼の美女。
その横にはこれまたカッコいい男の人。
誰だろう……?
「やーん可愛い!キョトンとしてるわ!」
「目覚めたか……おはよう、我らが息子よ」
きゃぴきゃぴと騒いでいる女の人と、威厳のある、でも優しい声で言葉を紡ぐ男の人。
「む……すこ……?」
む、声が出にくい。
軽くあーと声を出してみる。
なんか、なれない感じがする。
「ああ、お前は今生まれたばかりの我らの息子だ。声が出にくいのははじめて喉を使うからだ」
ぼく、この人たちの子供なんだ……。
「じゃあ……とうさまと、かあさま?」
モゴモゴと出にくい声で確認してみる。
こてんと首が傾く。
声、でにくい……。
「ッ!そ、そうだぞ。知識は入ってるか?」
なぜか少し驚いたとうさま。
「ちしき……。」
とうさまに言われたから頭に集中してみたら、なんかいっぱい知ってる。
え、っとまずぼくの種族は神族で、生まれたてなのに喋れるのは、神族は5年間卵のなかで成長するんだけど
その5年の内に親が卵に知識を与えて、殆どの神族の子供は産まれたときから喋れるんだって。
「お前には他の神族よりたくさんの知識があるはずだ……あいつがはりきったからな」
疲れたように呟くとうさまの視線の先にはきゃいきゃい言ってるかあさま。
なんか、とうさまって苦労人みたい。
きっとぼくが産まれるまでに色々あったんだろうなあ。
「あなた!ほんとうにこの子を旅に出すの!?」
突然食って掛かるように言うかあさま。
旅ってなんのことだろう……?
「仕方ないだろう?修行なんだから……」
言い合う二人を交互に見る。
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